数ヶ月前から急激にライセンスフリー無線界に普及し、独特なデザインとそれなりの性能で人気を集めつつある中華製特小。2台で4000円前半、3台でも6500円程度と激安な点も魅力的な一品だが、中身はどうなっているのか気になって仕方ありません!
当局はT18という機種の3台セットを購入しておりましたが、3台は多かった...
一台は完全にタンスの肥やしとなってしまっているので、中身を観察した上で特小専用受信機に改造してみることとしました。
※注意
一度無線機を分解した場合、技適は無効となってしまいます。仮に完全に復元出来、電波の質が技適基準を満たす状態にあっても、再度技適を通さない限り、電波を発射可能な状態で所有すると違法となります。※電波法第2条により受信のみを目的とするものは無線局に含まれない。
分解等は自己責任でお願い致します。
今回は分解後にPTT、コンデンサマイクの除去による送信機能の無効化、組み立て後に接着剤を注入するする事で送信機能の復元を困難にする対策と技適マークの除去により法的問題を回避しております。
※電波法第4条・電波法第38条の7第4項参照
※罰則規定は電波法第110条第1号・電波法第112条第1号・電気通信事業法第187条第1号参照
分解
ネジを全て外すと簡単に電池ボックスと基板が分離出来ました。給電は円形の端子を押し当てるのみで、はんだ等はされておりませんでした。
アンテナはヘリカル型でプラケース一杯まで入っており、そこそこ利得はありそうです。
裏側基板はこんな感じで表面実装部品が殆どです。高周波部ははんだが盛られたGNDのパターンで囲まれている様です。アンテナ直下にフィルタ回路、更に下側に送受信回路という構成だと思われます。送受信は中央下側のBK4818というIC1個で行われている様です。少し調べてみると玩具等の無線設備向けの汎用ICで126~590MHz対応、VOXやトーンスケルチ等の機能が実装されている様でしたが、詳細なデータシートは見つからず... 直下にクリスタルオシレータが実装されており、動作にはクロックパルスの入力が必要みたいです。
中央の正方形のICは残念ながら刻印なしで詳細は不明。恐らく液晶への出力やボタンからの入力検出やトランシーバーICへの信号出力をしているマイコンかと思われます。
気になったのはパターンのみ作られていて素子が実装されていない部分が多々ある点で、以前多く出回っていた海外仕様の無線機の回路を日本向けに作り直したのかもしれません。
液晶側はこんな感じでシンプルな構成でした。
ある程度観察も済み、このまま保管や復元をしても違法となってしまいますので送信機能を奪って受信機化していきます。
取り敢えずPTTを除去した上で、T18にはVOX機能がついているのでマイクの除去も必要です。これで送信は一切出来ない状態になりました。
仕上げにアンテナをSMA端子に交換しました。これで送信は出来ませんが、車内や室内からのワッチやギリギリの状態でのQSO支援に一役買うと思われます。
閉腹後はSMA端子と筐体の隙間からスティック一本分のグルーを注入。見た目は悪いですが、SMA端子の芯線の中折れを予防した上でしっかりと筐体と基板を密着させる事でネジを外しても分解が困難な状態にしました。元のアンテナ部が端子に対し大きかったので容易に奥まで充填が可能でした。
最後に技適シールも除去し、法的な問題も回避しました。
感想
一台当たり2000円ちょっとという価格設定から玩トラの延長的な作りを想像していましたが、高周波部をGNDのパターンで分離する等かなりしっかりと作りこまれており、アンテナも飾りではなくヘリカルアンテナが仕込まれていたので、QRB60km超の記録が出るのも納得。技適マークが偽物では?との疑いの声も一部聞かれておりましたが、適当な作りではない事が分かったのでこれなら安心して使えるかな?と感じられました。